英国ロイヤル・バレエ『シルヴィア』 ヌニェス&マッカテリ 2008年7月3日

英国ロイヤル・バレエ団『シルヴィア』
2008年7月3日(木) 18時30分開演  東京文化会館

シルヴィア(ディアナのニンフ): マリアネラ・ヌニェス
アミンタ(羊飼い): デヴィッド・マッカテリ
オリオン(邪悪な狩人): ティアゴソアレス
エロス(愛の神): マーティン・ハーヴェイ
ディアナ(狩り、純潔の女神): マーラ・ガレアッツィ

第1幕
シルヴィアのお付き: 崔 由姫、ヘレン・クロウフォード、フランチェスカ・フィルピ、ヴィクトリア・ヒューイット、小林ひかる、ローラ・マカロッチ、イザベル・マクミーカン、サマンサ・レイン

第2幕
オリオンの女官: ヴィクトリア・ヒューイット、サマンサ・レイン
奴隷: 蔵 健太、ヨハネス・ステパネク

第3幕
山羊: イオーナ・ルーツ、ポール・ケイ
シルヴィアのお付き: 崔 由姫、ヘレン・クロウフォード、フランチェスカ・フィルピ、ヴィクトリア・ヒューイット、小林ひかる、ローラ・マカロッチ、サマンサ・レイン、ララ・ターク
ケレスとイアセイオン: イザベル・マクミーカン、トーマス・ホワイトヘッド
ペルセフェネとプルート: カロリン・ダプロット、ベネット・ガートサイト
テレプシコーラとアポロ: シンディ・ジョーダン、ヴァレリー・ヒリストフ

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結構楽しめました(というのはかなり期待値が低かったので・・・^^;)。マリアネラ・ヌニェスがとても良かった! きびきび生き生きしていて、狩りをするニンフにぴったり。シルビアは全幕を通して踊りっぱなしなので、相当ハードな役です。それに比べてコール・ドの踊りが少な〜い。1幕はシルビアの踊りにくぎ付けであっという間でしたが、2,3幕でかなりだれてしまいました・・・。初見なので、ストーリー中心に細かく記録してみます。

第一幕
序曲が結構長かった。でも全体を通してとても壮麗な曲で聴きごたえがありました。幕が開くと、左手奥にエロスの像。牧神や妖精たちの踊り。ここで、牧神たちの着地の音の大きさにびっくり。そんなにどすんどすんしなくても・・・

牧神と妖精たちがいなくなったところにアミンタ登場。マッカテリの脚に目が行きました。脚が長くてきれい!タイツより素足の方が良くわかります。シルヴィアへの恋に悩んでいる様子。エロスの像に問うてみるけど、当然返事はありません。そこへ、ホルンが鳴り、手に弓を持ち、カブトを被ったニンフたちがやってきます。アミンタはエロスの像の設置台?の影に身を潜めます。シルヴィア登場。ヌニュスはプロポーション自体は恵まれているとは言えないけれど、素晴らしい輝き。颯爽としていて、ちょっと鼻っ柱の強いシルヴィアにぴったり。そして踊りも素晴らしかった。キレがあって、早くて複雑なステップを次々とこなしていきます。小気味良い!

シルヴィアのお付きのニンフに見つけられて、引っ立てられるアミンタ。詰め寄るシルヴィアにアミンタは気持ちを打ち明けますが、恋や愛がご法度なニンフのシルヴィアはその言葉にさらに怒りを増し、愛の神なんてなによっ!とエロスに向かって矢を放ちますが、アミンタはそれをかばおうと飛び出し、致命傷を受けます。するとエロスの像が動き(!あ、やっぱ人間だったんだ!とちょっとびっくり!)シルヴィアを射抜きます。シルヴィアはよろめきますが、自分で刺さった矢を抜くと、なんてことはない!ふんっ!とエロスの像をにらみつけてお付きの者達と引き上げます。

この間、舞台奥の端の上からは同じくシルヴィアに思いを寄せるオリオンがじっとこの様子を見ていました。

アミンタは瀕死の状態で物陰に隠れます。村人たちが出てきて踊り、去って行くとまた出てきます。なぜ隠れなきゃいけないのかしら?コール・ドの踊りの邪魔だから??出てきたアミンタは再び地面に倒れます。そこへオリオンがやってきて、踊ります。これはライバルを嘲笑しているのでしょうか??ソアレスは長い手脚を大きく広げて、高いジャンプ、早いピルエットを決めていきました。私だったら、なんだか頼りないアミンタよりこちらの方が好みですが・・・ソアレスのヒゲのないお顔を見たかった〜

そこへ、シルヴィアが再びやってきたので、オリオンは物陰に隠れます。さっきの颯爽と快活な姿から一転、切なく辛そうによろめいています。エロスの放った矢は愛の矢で、シルヴィアはアミンタへの恋に目覚めたのです。しかし、自分は相手に矢を放ってしまった・・・悩めるシルヴィアの元に姿を表すオリオン。自分のものになるように言いますが、シルヴィアは拒絶します。ここの振り付けはなかなか良くできていて、迫るオリオンと嫌がるシルヴィアの絶妙なからみ。ヌニェスとソアレスの2人はこの夏結婚を控えているとのことなので、余計に息もピッタリとなのでしょう。結局オリオンはシルヴィアを力ずくで連れ去ります。

村人たちがやってきて、ようやく倒れているアミンタに気が付きます。死んでしまっているのかと村人達が騒いでいると、マントを被った怪しい人物が・・・これ、見るからにエロスが変装しているわけですが、姿も怪しければ、動きもおかしい。手品のように花の色を変え、それをアミンタに近づけると、アミンタは目を覚ますのですが・・・ ここって笑うところだったのだろうか・・・ アシュトンは笑いを取り入れるのが好きらしいので、多分笑うところだったのだろうけど、誰も笑わなかったし、私もただ戸惑ってしまいました・・・ま、ちょっと笑いのツボが日本人には合わなかったのかしら・・・

かくしてアミンタは息を吹き返し、エロスからシルヴィアがオリオンに連れ去られたことを聞きます。アミンタはシルヴィアを救うために、エロスの指し示す方向へ向かって駆け出していきます。


第二幕

オリオンの隠れ家。オリオンはドレスや宝石などあらゆるものをシルヴィアに与えて、木を引こうとしますが、シルヴィアは何一つ受け入れようとしません。シルヴィアは自分に当たった矢をアミンタとの思い出の品として大切にしています。ここでもシルヴィアは難しいソロが続きます。1幕からずーっと踊っているのに、これでもか!というほどシルヴィアのソロがあります。そもそもマーゴ・フォンティーンの魅力をいかんなく見せるために創作されたバレエということなので、主役のプリマが踊りまくるわけです。

オリオンはシルヴィアの大切にしている矢を奪い、シルヴィアはそれを取り替えそうと必死になるが、なかなか奪い返せない。オリオンは自分を受け入れるよう強く迫るが、シルヴィアはひたすら拒みつづけます。

なかなかなびこうとしないシルヴィアに疲れたオリオンは酒を持ってこさせ、シルヴィアにも勧めます。ここでシルヴィアは一計を案じます。オリオンを酔いつぶしてしまおう!シルヴィアはオリオンに酒を勧め、自分は着替えのために一旦退出します。

奴隷の踊り。奴隷の踊りはアクロバチック。2人が向かい合って、相手の腰を取り、代わる代わる横転していくところでは、最後ちょっとひやりとする場面が。でも、蔵さんにはこんなアクロバチックじゃなくて、もっと普通に踊って欲しかったなぁ。

シルヴィアはセクシーな衣装に着替えて登場。色気たっぷりな踊りを見せます。ここでヌニュスはこれまでとは一転。別の魅力も見せてくれました。オリオンはついに酔っ払って寝込んでしまったところで、シルヴィアは矢を奪い返し、逃げようとしますが、逃げ道がわかりません。そこへエロスが現れます。

すでに石像ではなく神の姿なので、白塗りはやめて、素肌に薄い白い布を軽くまとった状態。脚も肩も胸あらわ〜♪マーティン・ハーヴェイの筋肉はむきむきで、まさにギリシャ彫刻のような美しくたくましい体です。素晴らしい〜。さて、シルヴィアはアミンタがどうなったか聞くと、エロスはディアナの神殿の前でシルヴィアを探しているアミンタの姿を見せます。シルヴィアはエロスの舟に乗り込み帰途につきます。

第三幕
ディアナの神殿の前で酒神バッカスの宴。山羊や「ケレスとイアセイオン」、「ペルセフェネとプルート」、「テレプシコーラとアポロ」が登場。そこへシルヴィアを探しつづけるアミンタがやってきます。ここはアミンタの跳躍の見せ所。そこへ舟が着いてエロスに続いてヴェールを被った女性が降りてきます。ヴェールを取ったら、シルヴィア!なぜここでヴェールをつけていなければいけなかったのかしら?

ここからPDD。シルヴィアは本当に踊りまくりです。

この後山羊や「ケレスとイアセイオン」、「ペルセフェネとプルート」、「テレプシコーラとアポロ」の踊りあたりでは完全に集中力が切れて、記憶がおぼろげ。ちょっともったいないことしてしまいました。

アダージョ。飛び込んでいって反転して決めるフィッシュ・ダイブが2回。きれいにきまりました。マッカテリ君なかなかサポートがうまいようです。

オリオンがしつこくシルヴィアを追ってやってきて、アミンタとつかみ合いに。シルヴィアが神殿に逃げ込むと、中から女神ディアナが現れます。マーラ・ガレアッツィはさすがにすごい迫力!騒ぎを起こしたと、オリオンに矢を放ち、オリオンは倒れます。そして、怒りの矛先はシルヴィアとアミンタにも向けられますが、エロスのとりなしによって無事鎮まります。ハッピーエンド。

2幕を見ている間にだれてしまったのが残念。もう1回ぐらい観ても良かったかな。