パリ・オペラ座バレエ団『シンデレラ』 ムッサン&ガニオ 2010年3月15日

ムッサンは美しいプロポーションで、ポール・ド・ブラがしなやかで踊りは上手いのだが・・・・女優を夢見ている少女には見えなかった。華奢しぎて、継母たちにいじめられてると、ほんとに虐待に見え、マチューと並ぶとどうみても老けている・・・・今日の義理の姉たちのジルベールやコゼットもレパートリーにしているらしいので、こちらの方が良かったなぁ。ガニオ君は華奢なおばさまエトワールと組むことが多いのは気のせいかな?

ガニオ君は期待に違わずそれはもう映画スターらしいお姿。ソロでは惚れ惚れ・・したが、PDDはちょっと・・・彼は腕力がないのでしょうか?リフトが持ちこたえられないようなシーンが。跳躍はきれいだったので、故障があるようには思えなかったのだが。

ステファン・ファボランの継母はマルティネスより演技が達者だった。存在感やそこにいるだけでおかしかったのはマルティネスだけど。ドロテ・ジルベールとエミリー・コゼットという両エトワールによる義理の姉たちは昨日よりはじけていた。特にドロテはノリノリ、エミリーは文字通り体当たりな演技。おもしろかったけど、やや過剰感も。

マチアス・エイマンは今日も光っていました。マチューと一緒に踊るとさらに彼のうまさが目立ちます。4連投のお疲れか?はたまたものすごく回転しすぎたか?連続ザンレールの2回目の着地が真後ろを向いて着地・・・なんてこともあったのはご愛嬌。彼のアルブレヒトは見るべきだったかな〜

プロデューサー役のアレッシオ・カルボネは個性的で役のイメージにぴったりだった。意外に背が低くて、四季のシーンの合間に鼻眼鏡をつけて踊った時は別人が踊っているのかと思ったほど。この踊りは軽やかで素晴らしかった。

ようやく本日プログラム取得。解説にもあったけど、ヌレエフ版のシンデレラの良さは原作のポイントを歪曲しておらず、無理なく現代の物語に移し変えているところである。最後に映画スターと結ばれるだけでなく、彼女の映画女優としても成功を手に入れるところがまた現代人の感覚に合うエンディングだ。

私は映画に詳しくないので、随所に盛り込まれた映画のパロディーを楽しむことが出来なかったのが、ちょっと残念。それがなくても十分楽しめたのだが。映画スターがシンデレラを頭上高くリフトし、シンデレラがエンディングの白い布をたなびかせるシーンはヘプバーンの映画のオマージュだそう。送風機の音が邪魔だけど、とても美しくて感動的なシーンだった。

舞台装置も大掛かりで登場ダンサーも多いこの演目、よく引越公演が実現したなぁとつくづく感心。貴重な舞台を観ることが出来て本当に良かった。

パリ・オペラ座バレエ団 日本公演
シンデレラ 全3幕
2010年3月15日(月) 6:30 p.m. 東京文化会館
第1幕:18:30 – 19:15
第2幕:19:35 – 20:20
第3幕:20:40 – 21:20

音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
振付:ルドルフ・ヌレエフ
装置:ペトリカ・イオネスコ
衣裳:森英恵
照明:グイード・レヴィ
1986年 パリ・オペラ座初演
演奏:東京ニューシティ管弦楽団
指揮:コーエン・ケッセル

シンデレラ:デルフィーヌ・ムッサン
映画スター:マチュー・ガニオ
二人の義姉:エミリー・コゼット、ドロテ・ジルベール
継母:ステファン・ファヴォラン
ダンス教師:マチアス・エイマン
プロデューサー:アレッシオ・カルボネ
父:ジャン=クリストフ・ゲリ

第1幕
第1場:映画の断片
メイド:レイラ・ディラク、マリーヌ・ガニオ、ニノン・ロー
ヴァイオリニスト:河合晃太、吉岡篤志

第2場:ファッション・ショー
春:リュドミラ・パリエロ
アマンディヌ・アルビソン、フロリモン・ロリウー
サブリナ・マレム、フロリアン・マニュネ
夏:エヴ・グリンツテイン
マリ=ソレーヌ・ブレ、ジョシュア・オファルト
ヴァネッサ・レガシー、ヴァンサン・シャイエ
秋:メラニー・ユレル
シャリーヌ・ジザンダネ、ニコラ・ポール
ロレーヌ・レヴィ、ファビアン・レヴィヨン
冬:サラ・コーラ・ダヤノヴァ(当初予定はステファニー・ロンベール)
マチルド・フルステー、アドリアン・ボデ
ミリアム・カミオンカ、シモン・ヴァラストロ

第3場:ハリウッド・スタジオ
時計、ワルツ:(省略)

第2幕
第1場:撮影現場
映画監督:アレクシス・ルノー
アシスタント:アドリアン・ボデ
オーディション:(省略)

映画1:無益な追跡
囚人:アレクサンドル・ガス
看守:ジュリアン・コゼット、ユーゴ・ヴィリオッティ、エリオ・クラベル、エティエンヌ・フェレール

映画2:パロディ・パレード
侯爵:ピエール=アルテュール・ラヴォー、アレクサンドル・ゴンチャルク
倒錯者たち:ジャン=バティスト・シャヴィニ、シリル・ショクルン、エリック・モナン、ピエール・レティフ

映画3:キングコング‐リメイク
タヒチアン・ガール、インディアン:(省略)

第2場:シンデレラの撮影
映画スターの友人:ベルトラン・ベレム、フロリアン・マニュネ、 ニコラ・ポール、ヤン・サイズ、マチュー・ボト、ヤン・シャイユー、イヴォン・ドゥモル、ジュリアン・コゼット
ダンサー、カメラマン、メイド:(省略)
第3幕
第1場:シンデレラを探して
スペインの居酒屋:
エミリー・コゼット
マリ=ソレーヌ・ブレ、サラ・コーラ・ダヤノヴァ、サブリナ・マレム
ロリアン・マニュネ、ニコラ・ポール、ヤン・サイズ

中国の酒場:
ドロテ・ジルベール
マチルド・フルステー、シャリーヌ・ジザンダネ、ミリアム・カミオンカ

ロシアのキャバレー:
ステファン・ファヴォラン
ペギー・デュルソー、エミリー・アスブン、ニノン・ロー

第2場:シンデレラの家
第3場:シンデレラ、映画女優になる