新国立劇場バレエ ボリス・エイフマンの『アンナ・カレーニナ』 ズミエヴェッツ&ヴォロブーエフ

エイフマンのバレエは初見。強烈な舞台言語に圧倒された。ダイナミックでアクロバティックなリフトを多用した踊り。そして、コール・ドは速いテンポで踊りまくる。踊りが濃い分、舞台装置はミニマル。だけど、しっかりとお金のかかったもの。衣装も同じくほとんどがシンプルなラインだけど、とてもスタイリッシュ。場面に合わせて細かく衣装替えがある。全2幕、幕間の25分を入れても2時間弱で終わる短い作品なのだが、その濃密さゆえに終わった時はぐったりとした。ただ、あまりにも激しい踊りが続くあたりでは、少しワンパターンな感じがして、短いにもかかわらず、食傷気味に感じたこともあった。

原作からアンナ・カレーニナを中心とした物語を取り出して構成しており、リョーヴィンやオブロンスキー夫妻は省かれている。

主役のエイフマン・バレエの3人が物凄かった。アンナ役のズミエヴェッツの身体能力と演劇性が素晴らしい。とりわけ彼女の脚は雄弁。タタール系?のエキゾチックな顔立ちにシンプルなラインの衣装が彼女の美しさを引き立てていた。

新国立劇場バレエ『アンナ・カレーニナ
2010年3月26日 19:00〜 新国立劇場中劇場

台本・振付: ボリス・エイフマン
作曲: ピョートル・チャイコフスキー
装置: マルティニシュ:ヴィルカルシス
衣裳: ヴャチェスラフ・オークネフ
照明: グレプ・フィリシチンスキー / ボリス・エイフマン

アンナ: ニーナ・ズミエヴェッツ Nina Zumievets (ボリス・エイフマンバレエ)
レーニン: セルゲイ・ヴォロブーエフ Sergey Volobuev (ボリス・エイフマンバレエ)
ヴロンスキー: オレグ・ガヴィシェフ Oleg Gabyshev (ボリス・エイフマンバレエ)
キティ: 堀口 純