ミハイロフスキー劇場バレエ「ドン・キホーテ」2011年1月6日 テリョーシキナ&ルジマトフ

テリョーシキナの全幕キトリ、最高〜!!! オブラスツォーワには申し訳ないけど、ほんとに来てくれてありがとう!!という感じ。ルジマトフさまが怪我でかなり省エネモードだっただけど、テリョーシキナのおかげで不満なし!

省エネ・ルジ様については・・・ファンならば、それでもそのラインの美しさに感激〜☆でしょうかね。奇跡的な美しさでしたから。でも、ルジマトフを良く知らないけど、ドンキを見たことある人だったら、「なんじゃこりゃ?」だろう。まさに賛否両論分かれる公演だったであろう。

私はというと・・・・そもそもこんなにルジマトフが全幕踊れるのか?踊ったとしてもどんなレベルなのだろう??と当初よりかなり懐疑的に思っていて、今回のミハイロフスキーは全く観に行くつもりはなかった。キトリのキャスト変更のニュースに、テリョーシキナの全幕なんてラッキーと慌ててチケットを買った口。なので、想定の範囲内というか、むしろ、ルジマトフの体力的なことからみて、こういう上演のやり方って、最初からある程度予定されていたのではないのかな・・・なんて穿った見方をしている(笑)。

プロローグでは、ドルネシア姫の幻影が出てきてわかりやすい展開。この後も全般的に非常にわかりやすい構成だった。

1幕では、キトリも大道の踊り子(メルセデスは別役)も素足に肌色のポワント・シューズ。テリョーキシナの脚は細いけど鋼のように強い筋肉。ルジマトフも膝丈のタイツの舌は素足・・・両方のふくらはぎにサポーターを巻いている?怪我というのは肉離れなのだろうか? 黒髪でエキゾチックな顔立ちのテリョーシキナはルジマトフと良く似合い、2人がゆっくり歩いていくところは、脚どりもぴったり合っていて、これが急造ペア?という感じ。

ルジマトフはとにかくは跳躍なし、回転ちょろっと、で決めポーズでごまかす・・・片手リフトはなし。なんとか両手で上まであげて、テリョーキシナがポーズを変えてうまくごまかしていた。サンチョ・パンサのトランポリン?はなかなかスムーズで大ジャンプ。

2幕、キトリの衣装はそのままだけど、髪飾りが真紅のバラから白へ、白いタイツと白いポワント・シューズに変わっていた。逃げてきた後としてはちょっと不自然だけど、次の準備のためにはしょうがないのだろう。ジプシーの野営で寸劇を見せるのはキトリとバジルではない。バジルは座って見ていた。キトリは追手は風車の後のシーンにやってくるし。

夢のシーン。テリョーシキナよりも森の女王役のシェスタコワの方が姫オーラがあった。でも、テリョーシキナの踊りがとにかく素晴らしいので、シェスタコワに眼がいかない。

酒場のシーン、キトリのダイブがマイルドな感じにアレンジしてあって、これはちょっと欲求不満。での狂言自殺のシーンでは、ルジマトフの演技がすごーくかわいかった!なんというか間が絶妙。私がもしルジ様ファンだったら、涙腺が決壊してたと思う。

3幕、アダージョが始まってはっと気がついたら、バジルと同じぐらいピカピカなジャケットを着た主役オーラを出した2人が。バジルのヴァリエーションではさりげなくルジマトフと入れ替わって、跳躍しまくって、また交替。コーダが始まる、またもう1人がさりげなく交替してマネージュしてまた入れ替わる・・・ま、知らない人が見たら、バジルのお友達のお祝いの踊り?という感じ。それぞれはちゃんと素敵だったけどね。テリョーキシナのフェッテがすごい!まったく軸がぶれず、2回に1回はダブルで、ダブルの時は交互に扇を開いて上にかかげたり、胸の前で開いたりしたまま余裕で2回転。素晴らしい〜 最後のピルエット・ア・ラ・スコンドはルジ様渾身の力でがんばる〜も、最後の軸のぶれは倒れこんで決めポーズでごまかすパターン。

こういう状態のダンサーを降板させず上演するのはバレエ公演としてはどうなのかな・・・とは思う。でも、ルジマトフ・ファンなしにはこの興業は成立しないのであるから、しょうがないのだろう。と納得の上で見ていたので腹も立たなかった。何よりテリョーシキナが本当に素晴らしかったので私的には十分ペイした感じ。ヴァリエーションなどの踊りの完璧さに加え、ルジマトフに深い敬意を持って自分が前に出すぎることなく、でもルジマトフをカバーすべきところはしっかりカバーしてどの観客をも十分納得させていた思う。

ミハイロフスキー劇場(レニングラード国立)バレエ「ドン・キホーテ
2011年1月6日(木) 18:30開演 Bunkamuraオーチャードホール


キトリ: ヴィクトリア・テリョーシキナ(ゲスト・ソリスト)
バジル: ファルフ・ルジマトフ


ドン・キホーテ: マラト・シェミウノフ
サンチョ・パンサ: デニス・トルマチョフ

ロレンツォ(キトリの父): パーヴェル・マスレンニコフ
ガマーシュ: アレクセイ・マラーホフ

エスパーダ: デニス・モロゾフ
大道の踊り子: ヴィクトリア・クテポワ
メルセデス: オリガ・セミョーノワ


ジプシー: アンナ・ノヴォショーロワ、アレクサンドル・オマール

森の女王: オクサーナ・シェスタコワ
キューピット: ナタリア・クズメンコ

キトリの友達: タチアナ・ミリツェワ、エカテリーナ・クラシューク

ファンダンゴ: アーラ・マトヴェーエワ、リシャート・ユルバリソフ

ヴァリエーション: オリガ・ステパノワ、ヴィクトリア・クテポワ

二人の闘牛士: アンドレイ・マスロボエフ、ニキータ・クリギン

酒場の主人: パーヴェル・シャルシャコフ



指揮:ヴァレンティン・ボグダーノフ
管弦楽:レニングラード国立歌劇場管弦楽団


第1幕約40分 休憩20分 第2幕約45分 休憩20分 第3幕約30分