新国立劇場バレエ団「ラ・バヤデール」2011年1月22日 小野&福岡

小野さんのニキヤ・デビューは破綻なくまずまずの成功だろう。1,2幕の演技もそれなりにがんばっていたし、踊りは問題なし。3幕は珍しく固さが見られたけど、うまくまとめた感じ。割と度胸が良い(と思われる)小野さんをして、固くなるのだから、やはり3幕は難しいのだろう。しかし、初役をこれぐらいのレベルで踊りきれたのは立派。

気になるのは、白鳥でも思ったが、演技が型どおり・・・言われた通りに「演じてる」感じで、自分の解釈というのがあまり感じられないこと。6月のジュリエットやマノン・・・どうなるんだろう?期待と不安! それから、もう1点同じく白鳥でも思ったのは、ポール・ド・ブラが美しくない訳ではないのだが、どうも見栄えがしないのが気になる。腕が短い・・・ということもあるが、手も小さくてちょっとぷっくりしていて、ラインがなんというか子供っぽいのだ。せめて、もう少し手首がはっきりすると良いのでは・・・小野さんは今いくつだっけ?20歳後半とかになると変わってくるのかな?

福岡さんのソロルはなかなか良かった。出てきた瞬間ソロルに衣装がとても似合っていて、脚のラインも美しかった。ソロは抜群!マネージュは旋回(?)で一周してフィニッシュで540! 2幕のマネージュもきりもみをしっかり決め、フィニッシュもぴた! パートナリングがややあぶなっかしかったのが残念。1幕は緊張とサポートする腰周りが素肌なので持ちづらそうというか遠慮?で、サポートするタイミングが遅れ気味だったように見えた。残念ながら2人の間にあまり愛が感じられなかったのよね・・・ この2人はこれまであまり組んだことがなかったかと思うが、来シーズンはファースト・キャストで組むことが多い予定。はて、今後はどう変化していくのかしら。

本島さんのガムザッティはそれはそれは美しく・・・気は強いけど、これならソロルが心変わりしてもしょうがないほどの美しさ。ソロルははっきりいってすっかりガムザッティの虜になっていた!

輪島さんのハイブラーミン、意外に素敵だった〜!やはり、もろ肌脱ぐなら浅黒い筋肉質の肩が良いわ〜 このバージョンはハイブラーミンがやや大人しめでもったいない。というか、ソロル以外の男性はほとんど踊るところがないのでお気の毒すぎる。アダジオの2人だってサポートばかりだし。

素敵といえば、前日ラジャーの逸見さんがとても気品のある王様で良かった。

ジャンペでご登場の大和さんとあれ?米沢さん?と思ったら、大和さんが病気で降板になった井倉さんの代役に入られたようで、ピンク・チュチュに登場されて!と。お得な感じでした♪ ピンク・チュチュを前日踊ったさいとうさんと高橋さんは連日すごーくぴったり完璧で、あのシーンを引き締めていた。影のコールドも完璧を維持、第1〜3のヴァリエーションも磐石。ここで主役を食ってしまう日が多かった。

3日観て思ったのは、コール・ドや脇の完璧さに反して、主役が弱い!もっと、ちゃんとファースト・ソリストプリンシパルにプロモーションさせて、コール・ドの負担を減らして、役に専念させるべき!

新国立劇場バレエ団「ラ・バヤデール」
2011年1月22日(土)14時〜 新国立劇場・オペラ劇場


ニキヤ: 小野絢子
ソロル: 福岡雄大


ガムザッティ: 本島美和
ハイ・ブラーミン(大僧正): 輪島拓也
マグダヴェヤ: 八幡顕光
黄金の神像 : 福田圭吾
トロラグヴァ: 芳賀望
ラジャー(王候): 逸見智彦
ジャンペの踊り: 大和雅美、米沢唯
         伊東真央、細田千晶、今村美由起、川口藍、加藤朋子、益田裕子
つぼの踊り  : 湯川麻美子
ブルー・チュチュ: 西川貴子、寺島まゆみ、丸尾孝子、厚木三杏
ピンク・チュチュ: さいとう美帆、高橋有里、大和雅美、伊東真央
アダジオ    : グリゴリー・バリノフ、江本拓


第1ヴァリエーション: 寺島まゆみ
第2ヴァリエーション: 西川貴子
第3ヴァリエーション: 丸尾孝子