オーストラリア・バレエ団 『眠れる森の美女』 ダン&ローレンス 2007年7月18日

これまた、まったく期待してなかったのですが、おもしろかったです!『白鳥』のように完全にストーリーが違うわけではないのですが、新しい演出で、展開のテンポも良く、いつもは途中で退屈してしまいがちな『眠り』を堪能することが出来ました。

基本的には古典に沿った振り付けなので、この演目ではバレエ団の踊りをちゃんと観ることが出来、全体のレベルはかなり高い!と思いました。コール・ドも難しい振り付けをよくこなしていたし、ソリストたちの踊りも安定して美しい。そして、皆さんプロポーションも良い! オーストラリア・バレエ、なかなかすばらしい! 食わず嫌いはいけないなと思いました。


第1幕
白い衣装の集団。なんだろう・・・?と思っているうちに、リアルな(笑)出産シーン。それからオーロラの誕生を祝う場面へ。ここでは、いきなり猫やらブルーバードやらのキャラクターたちが登場します。ちょっとびっくりですが、終幕にいきなり駆けつけて結婚を祝うよりは、なんだか自然なお話になると思いました。

妖精たちが登場。皆全身タイツに薄いチュールの短いスカートという衣装なので、スタイルがばっちりわかります。リラの精のダニエル・ロウが抜群にスタイルも踊りも良かったです。

カラボス登場の音楽に乗せて出てきたのはさっきの白い集団。おっと、これがカラボスでした。カラボス=黒のイメージだったので、最初のシーンではわかりませんでした・・・(汗) おもしろいのは、カラボスが「恨んでやる〜 呪ってやる〜 こうやって、この子は眠りにつくのさ〜!!」とオーロラのお人形(きらきらの覆面をしたルシンダ・ダン)を出してきて、ナイフでぐっさり手を刺す真似をします。床に倒れるオーロラ人形。そこへ王子様人形が出てきて、キスして起き上がります。小さい子にはわかりやすいかな。

第2幕
バックは黄金のお城・・・ちょっとタージ・マハールを思わせる。コール・ドの衣装もサテンのきらきらでカラフル。インド?? そんな中でオーロラはベージュのチュチュで登場。ちょっと地味・・・・? ダンの踊りはとても丁寧で確実。世界バレエフェスの時もそう思いました。「白鳥」の男爵夫人は色気たっぷりでぴったりと思ったけど、一転、初々しいオーロラも良いです。

ローズ・アダージョ中で4人の王子たちから1輪ずつバラをもらうところで、オーロラが1回転している間に王子はトゥールザンレールをしてひざまずいてバラを差し出す・・・というのがとっても難しそう!4人とも無事にバラを受け取ってもらえてました。あ、この王子たちの衣装はいけてなかったです。古代ローマ戦士みたいで・・・

カラボスが渡した黒いバラの花で手に傷を負ったオーロラは怒ってカラボスを平手打ち!ちょっとびっくり。その後、毒が回って倒れたオーロラを背中に羽をつけた(笑)リラの騎士が高々と掲げて、ベッド・・・ではなく、なぜか人が二人四つんばいになって作った台の上に乗せます。ここも謎でした。


第3幕
王子二人が森へやってくる。キャスト表を見た時に「なぜ王子が二人??」と思いましたが、フロリムント王子が本命で、フロレスタン王子が弟らしい。おとりまきの男爵夫人が色気を出して王子にからみつくのですが、このキャラの存在意義がよくわかりませんでした。衣装もいまいち・・・

リラの精がみせるオーロラの幻影。ここのパ・ド・ドゥは素敵。良いパートナーシップ。オーロラが幻影の中に消えると、フロリムント王子がお昼寝中の弟王子を揺り起こして、いざ、オーロラの元へ! しかし、行く手を阻むカラボスたち! ここで、王子はカラボスの美しさにぼ〜っとして、戦意喪失?うかうかしてる間に、魔法をかけられ(?)意識を失って倒れてしまいます。焦る弟。カラボスの手下たちと必死で戦いながら、リラの精からもらったリラの小枝をかざして、兄王子の目を覚まそうとします。ようやく気づいたフロリムント王子、はっ!とカーテン?をひっぺがすと、明るい光がいっぱいに差し込んできて、カラボスたちが力を失います。オーロラの元へ。

さて、結婚式。オーロラの衣装がまた地味・・・ オーロラの二の腕のレースが好きなんだけど、なかった・・・(寂)踊りはエネルギッシュかつ丁寧でよかったです。ターンしてフィッシュ・ダイブも3連続でぴったり決まりました。

ブルーバードの踊りはいまひとつでした。調子悪かったのかしら?着地などがずいぶん雑。相手役はフロリナ王女ではなく、精霊の一人のカナリヤの精でした。たおやかな踊りでGOOD。すごかったのは、二人のイワン。ものすごい跳躍でゴムマリみたい・・・!

最後は皆で舞台の上手から下手へ行進して消えて行きます。舞台には一人リラの精が残り、幸福で満ち足りた様子で舞台袖へ消えて行き・・・幕・・じゃなくて、最後の最後はカラボスでした!一歩一歩進んでいくとともに、長いトレーンが舞台中に広がり、下手に到達したところで幕。う〜ん、これは意味がわかりませんでした。カラボスの呪いはまだまだ続くのでしょうか?


なんだか?なところばかりピックアップしちゃいましたが、全体としてはテンポも踊りも良くって、ほんとに楽しかったんですよー




オーストラリア・バレエ団 『眠れる森の美女』(全3幕)
2007年7月18日(水)18:30開演 東京文化会館 大ホール

オーロラ: ルシンダ・ダン
フロリムント王子: マシュー・ローレンス
フロレスタン王子: ケヴィン・ジャクソン
王: フランク・レオ
女王: キスメット・ボーン
カタラブット(式典長): コリン・ピアズレー
宮廷の看護婦: ソフィー・フレッチャ
看護婦: カミラ・ヴァーゴティス、ジュリエット・バーネット、
ナタリー・ヒルジーナ・ブレシャニーニ

リラの精: ダニエル・ロウ
カナリヤの精: レアンヌ・ストイメノフ
地の精: 久保田美和子
空気の精: ラナ・ジョーンズ
水の精: アンバー・スコット
火の精: ゲイリーン・カンマーフィールド
リラの精の騎士: アダム・ブル、ポール・ノブロック
青い鳥: ダニエル・ゴーディエロ
二人のイワン: レミ・ヴェルトマイヤー、ツゥ・チャオ・チョウ
ジンジャー・キャット: ベン・デイヴィス
白い猫: ナターシャ・クセン
人形: ジェシカ・トンプソン、ブルック・ロケット、
本坊怜子、ダナ・スティーヴンセン
彫像: ルーク・インガム、ティモシー・ファラー、
ゲンナーディ・クーチン、ジョン=ポール・イダシャク
カラボス: オリヴィア・ベル
四人の冬の精: ロビン・ヘンドリックス、ジェーン・カッソン、
ローラ・トン、フランシス・マーフィー
フクロウ: シモーヌ・プルガ
カラボスの騎士: 藤野暢央、マシュー・ドネリー
四人の王子: トリスタン・メッセージ、アダム・スーロウ、ルーク・インガム、アンドリュー・キリアン
カミラ・ヴァーゴティス、ジュリエット・バーネット、
オーロラの友人: ナタリー・ヒルジーナ・ブレシャニーニ
男爵夫人: ジェーン・カッソン

トピアリ−、廷臣、妖精、衛兵、
侯爵夫人、女中、トロール、子鬼: オーストラリア・バレエ団