グルジア国立バレエ『白鳥の湖』アナニアシヴィリ&ウヴァーロフ 2007年7月22日

グルジア国立バレエ『白鳥の湖
2007年7月22日 18:00開演 東京文化会館

オデット/オディール:ニーナ・アナニアシヴィリボリショイ・バレエアメリカン・バレエ・シアター
ジークフリート王子:アンドレイ・ウヴァーロフ (ボリショイ・バレエ

ニーナとウヴァーロフ様、素晴らしかったです!二人とも祝復活!! ニーナの復帰以来の他の方の感想などをみると、ちょっと衰えは否めない・・・といったものが多かったのですが、今夜はそんなことはちっとも感じませんでした。もっとも私は全盛期のニーナを知らないので、そう言えるのかもしれません。でも、派手なテクニックではなく、本当に滑らかでしなやかな腕の動き、正確なステップや美しいポーズ、表情・・・ロパートキナ以来の鳥肌ものの白鳥でした。

事前にあらすじなどを見ていなかった私。トラディショナルな白鳥だと信じきって会場入り。始まる前にキャスト表を眺めていて、道化なしパターンなのね・・・あれ?芸術監督/ロッドバルト・・・・? なんと、これまた新型「白鳥」なの〜??と慌てて演出欄をチェックすると、「プティパ・イワノフ版」と書いてある。うむむ・・・と悩んでるところで開演。

第1幕
幕が上がった瞬間、「何だこれはぁぁぁ〜!!」! 舞台に立っているのはレッスン着の男女・・・奥には大きな鏡が3枚と舞台両端にバーという舞台装置・・・ きゃ〜、やっぱりモダンバージョンなの??ニーナの白鳥は?? ウヴァーロフ様、せっかくの復帰なのに、レッスンじゃなくて王子を見せてぇ〜〜〜〜〜!と頭がぐるぐるしているうちに、レッスン場でのリハーサルが始まり、パ・ド・トロワが。振り付けが随分簡単になっていたような・・・? 3人のジュテ・アントルラセがないっ!(最後に1回だけあった)。ソロも簡略化されてる?女性二人のポワントワークがなんか美しくない・・・とぶちぶち思っていると、今度はウヴァーロフ様のソロのお稽古らしい。しかし、芸術監督はどうも不満らしく、落ち込むウヴァーロフ様・・で、幕が一旦降りてしまい、音楽は通常王子が森へ行くシーンの曲・・・ う!!この後どうなるの??

そして幕があがったら、かなり普通の湖畔のシーンになってました。あれ?そして、普通に通常の2幕が始まる・・・安心したけど、ちょっと唐突な感じは否めませんでした。

気を取り直して・・・ いよいよニーナの登場です!会場から大拍手。腕の動きがしなやかで滑らか・・・まるで波打つかのよう。美しい。王子が出てきた時の戸惑いの表情が印象的。

コール・ドは・・・う〜ん、それなり・・・でしょうか。4羽の小さな白鳥はステップがあんまり揃ってなかったです。大きな白鳥は3羽になってましたが、真ん中の人がすっごく長身で、その人ばかりに目がいってしまった・・・けど、伸びやかで良かったと思います。

ニーナのソロ、パ・ド・ドゥは最初に書いた通り。ただひたすらに魅入ってしまいました。そして、最後の方にオデットが足踏みステップでパタパタ羽ばたくようにするところ(稚拙な表現ですみません・・・)では、ニーナが白鳥のように見えました。ここの巧拙って、私には結構重要なのです。

第2幕
ここから装置も衣装もゴージャスに。ハンガリーナポリポーランドの踊り・・・はいまひとつかな。でも、最近はこの辺のキャラクターダンスをカットした版ばかり観てたので、久しぶりでうれしい♪ 花嫁たちの踊り、オディール登場。そして、熱かったのがスペインの踊り!男女ペア2組全員情熱的な踊りで、特に女性二人がプロポーション抜群だし、反りがすばらしかった!会場からも大喝采

オディールと王子のPDD。ニーナの長い手脚が先程とは一転して、しなやかに情熱的に動きます。ウヴァーロフ様のソロも素敵でした。これぞ王子。あんなに長身で跳躍も高いのに着地の音がほとんどしないのはさすがです。最後のコーダ、グランフェッテの音楽のテンポがえらく速かったです。(回転数をごまかすために音楽を早めたのでは?とちょっと思ってしまった・・・)シングルのみでしたが、ニーナは最後までぐらつくことなくエネルギッシュに回りきりました。

この場の終わりは通常のパターン、一旦幕が降り、次は湖畔のシーン。コール・ドは短くなってましたが、オデットのソロはちょっと長めになってました。最後はハッピーエンドではなく、ロッドバルトによって引き裂かれ、白鳥たちに取り囲まれて、王子は倒れこんでしまいます。一旦幕。再び幕が開くと、再びレッスン場。自信を取り戻したウヴァーロフ様は仲間たちと舞台に向けて(?)明るく駆け出します。幕。

休憩を20分入れても8時15分終演とかなりコンパクト化された白鳥でした。それにしても、どうしてこの版にしないといけなかったのでしょうか? 別に普通にプティパ・イワノフ版にすればよかったんじゃないの・・・?とどうしても思ってしまいました。