新国立劇場バレエ「白鳥の湖」小野&山本 2010年1月20日


新国立劇場バレエ「白鳥の湖
2010年1月20日 新国立劇場 19:00〜

オデット、オディール:小野絢子
ジークフリード王子 :山本隆之
ロートバルト:貝川鐵夫
王妃    :西川貴子
道化    :福田圭吾
家庭教師  :石井四郎
王子の友人(パ・ド・トロワ):堀口純 、寺田亜沙子、福岡雄大
小さい4羽の白鳥:遠藤睦子、西山裕子、寺島まゆみ、長田佳世
大きい4羽の白鳥:寺島ひろみ、本島美和、丸尾孝子、堀口純
スペインの踊り :湯川麻美子 、寺島まゆみ 、江本拓、芳賀望
ナポリの踊り  :高橋有里、大和雅美、吉本泰久
ルースカヤ   :井倉真未
ハンガリーの踊り:西山裕子、高木裕次
2羽の白鳥   :寺田亜沙子、堀口純



堂々たるオデット/オディール・デビューだったのではないだろうか。最初はもちろん緊張もあってか消え入りそうに線が細かったが、幕が進むにつれ、どんどん自信にあふれてきて、舞台の上での存在感が増してきた。小野さんってすごく度胸の良い人なのだろう。

意外にオディールの方が良かった・・・と思った。無論妖艶さはないものの、きびきびとした動きは魅力的だった。白鳥には、ロパートキナやザハロワのような完璧な造形美とまではいかなくても、体のラインを極限まで美しく保つことにもっと意識を持つ必要があるのではないか。日本人でも吉田都さんや酒井はなさんのように素晴らしいフォルムをみせてくれるダンサーもたくさんいるので、これは単純に体型だけの問題ではない。恐らく、舞台と年齢を重ねることによって、徹底して踊りこむことによって培うことが可能なのだと思う。演技はこれからかな。今後も踊る機会を重ねて、熟成していってほしい!

そして、山本王子のサポートは愛情たっ〜ぷりで、非常に頼りがいあって観ている方も安心感を与えられた!素晴らしいダンス・ノーブル!

第一幕。王子の友人たちの水色のレースと白のドレスは本当にきれい。村の人々?のコール・ドの先頭の一旦は大和さんと八幡さん。贅沢〜

パ・ド・トロワはなんだか3人の息がいまひとつ合ってない感じ。リハーサル不足なのだろうか?個々も少し安定性に欠けていた。特に堀口さんがバタバタして見えたし、寺田さんは音楽に乗っていない感じ。

福岡さんはソロの最初、音のない高い跳躍の連続におぉ〜と思ったが、最後の舞台下手奥から斜めに上手手前に連続トゥール・ザン・レールで前進してくるところで、明らかにスタミナ切れで精一杯感が。マイレンはもっとかっこよく決めてたよー そう言えば、今回はマイレンのパ・ド・トロワが見れないのも残念だ。でも、王子を観るからいいけど。

最後の入れ替えサポート付きピルエットも女性二人がぶつかったりして、やはりぎくしゃく。でも、ブラボーがいっぱい飛んでたから、私だけがそう思ったのだろうか。

この日は初役デビューが結構多かったかな?

道化の福田さん、すごくがんばっていて好感度大。音のとり方がとてもうまいし、大技を決めつつ、所作は常につま先まで気を抜かずエレガント。表情も良かった!もっと場数を踏めば、とても魅力的な道化になりそう。新国立の道化と言えば、グレゴリー・バリノフだけど、今回の白鳥ではどこにもキャストされていない。前回の舞台での怪我はかなりシリアスなのだろうか。少し心配。

残念と言えば、ザハロワの降板で川村さんが明日の急遽代役を務めることになったせいか、この日はお姿がみられず(涙)。川村さんの白鳥見たかったなぁ。ザハロワはありがたいのだけど、正直新国立では見飽きてしまった。

山本王子、ソロは全体的に少し重い感じがした。でも、日本人の男性ダンサーで彼のようなノーブルさを持った容姿の人ははなかなかいないので、とても貴重だと思う。

第二幕、オデット登場。小さい〜 白鳥というよりは・・・あひるちゃん? 直近観た白鳥がロパートキナ様だから、かなりギャップが・・・あくまで清楚な少女のようなオデット。踊りは正確だけど、線が細すぎて、主役オーラが足りず、白鳥たちの中に入ると埋もれてしまう。

コール・ドは素晴らしい!走って登場しても足音がしないし、整然と揃ってるし。感動的。

そして、アダージオ。小野さん緊張が解けてきたのかどんどん動きが美しくなってきた。アダージオで王子に高くリフトされて開脚連続は、もの凄く軽やかで体重がないよう。コーダの最後の羽ばたいてステップを踏んで、アントルシャ?もしっかり刻んでいて、私好み。私にとってここをちゃんと白鳥っぽく見せてくれるか否かはかなり重要。合格。

デビュー記念で?2幕のグラン・パ・ド・ドゥのエンディングではひざ乗せポーズ♪ 感激して幕。

しかし、休憩中にどうしても不安がもたげてくる。小野さんのオディールに想像がつかないのだ。

第三幕。各国の招待客の到着。道化の福岡さんはますます冴えている。花嫁候補たちの踊り。花嫁候補は堀口さん、本島さん、寺田さん・・・、本島さんはやはり華があって目を引かれる。

オディール登場。おっと、意外に迫力ある!まったくもって「悪」な感じはしないけど、自信に満ちた表情はなかはかオディールらしい。

スペインは湯川さんのソリ具合が好き。

ナポリは女性2人と男性1人のパ・ド・トロワ。踊れるベテランな3人なので、軽やか〜。息もぴったり。キャラクターダンスでは珍しく女性はトゥシューズ。でも、残念ながらこの牧版の振付はあまり好きではない。

ルースカヤ。この方が井倉さんね。ハンガリー。今日は西山さんに本当に引きつけられる。

GPDD。小野さん、きびきびしていてフレッシュなオディール。がんばっていたけど、どうしてもちょっと演技が淡白に見えてしまう。もう少し視線で駆け引きすると小悪魔っぽくなるのでは?32回転は最初数回シングルで、2回転ー>1回転を2,3度やったところで、大きく軸がぶれて後はシングルのみで安定させた。

終幕。小野さん良かった!オデットの嘆きや力つきつつも王子と一緒に戦う演技に自然に物語に引き込まれた。そして、コール・ドが美しい!残念ながら、一部カットされていたらしい。

この版では王子とロートバルトの直接対決?はなく、愛の力に打ち負かされて、ロートバルトは勝手に湖に沈んで息絶える。あっけない気もするが、今日の主役には合ってたような。