《マニュエル・ルグリの新しき世界》Bプロ 2010年2月9日

《マニュエル・ルグリの新しき世界》Bプロ
ルグリと輝ける世界のスターたち

前回のルグリのガラはルグリ先生が生徒たちを連れてきた感が大きかったのですが、今回のキャストはとてもゴージャス。エンディングで全員が並んだ時に「プチ・バレエフェスだ・・・」と思ってしまった。

【第1部】
チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」 ヘザー・オグデン ギヨーム・コテ
ヘザー・オグデンはとにかくとても愛らしい美人で気に入りましたが、この演目はかなりテクニックのあるダンサーで何度も観ているので、その基準からすると技術的に華がなく、重い踊りに感じられたのが残念。
ギヨーム・コテは跳躍がすごいとの前評判だったが、跳躍はどれもいまひとつで、回転ものが素晴らしかった。ピルエット・ア・ラ・スコンドは手をずっとアン・オーにキープしたまま、シングル→ダブルを安定して続けていたのが驚異的

「モペイ」 フリーデマン・フォーゲル
上半身は裸なので、華奢な体に実はしっかりとした筋肉に覆いつくされているのがはっきりわかる。背中を向けて腕や上半身を細かく動かす動きが多く、肩甲骨周りの筋肉が細かくさざめく。コミカルな動きもあり、おもしろい振付。フォーゲル君がやるところがまた良いのかも。

スリンガーランド」 アニエス・ルテステュ パトリック・ド・バナ
これまで見たアニエスはノーブルなパートナーと踊っていたので・・・ かなり強烈な個性のバナと並んでいること自体かなり不思議。この演目はなんだか抑揚がなくて淡々とPDDがひたすら踊られていくので、途中で飽きてしまうのだが、バナが興味深かったので意外に集中できた。

ま、ド・バナさんはちょっと練習不足が否めない感じ。というか、こういうダンスを踊る人ではないから無理もない。いっそアニエスのソロの演目とかにすれば良かったのに。

「アザー・ダンス」 オレリー・デュポン デヴィッド・ホールバーグ
オレリー・デュポンのパートナーは当初フリーデマン・フォーゲルであったが、フォーゲルが故障のため、急遽デヴィッド・ホールバーグが代役となったのだが、そんな急造ぶりはほとんど感じず、2人のアイコンタクトも愛があって良かった。

ホールバーグ君の美しさは言うまでもないけど、オーレリーの美しさ、技術の確かさ、余裕、音楽性・・・すべてにおいて成熟されていて、素晴らしいダンスにうっとり。2人並ぶとまたこれまた素敵なペアなのだ。フォーゲル君も良いけど、ホールバーグ君と踊れてオーレリーはかなり嬉しいんじゃないだろうか

この演目は初見。チャルダッシュみたいな振りが盛り込まれていた。

「優しい嘘」 シルヴィ・ギエム マニュエル・ルグリ
全然優しくない踊りだった。ギエムの迫力がすごくて。


【第2部】

マリー・アントワネット アニエス・ルテステュ パトリック・ド・バナ
さすがに自分が振付けただけあって、今度はちゃんとしていましたバナさん。上半身はシースルーなので、肩〜胸のタトゥーがばっちり見えるのはちょっと異様だった。

最初は硬い表情で2人がぎこちなく踊る。アニエスは当時のドレスのスカートを取り払ったような衣装。下は素足。髪を少し縦ロールに垂らした感じは姫っぽくて、彼女にとても似合う。
これはルイ16世とアントワネットとのぎこちない結婚生活を表しているのだろうか。

バナがシースルーの上着を脱いで、ノースリーブのシャツだけになる。踊り始めた二人は今度は笑みを浮かべている。バナはフェルゼンになったのか?(って、それはベルばらの架空の話だっけ?) まぁとくにかく享楽にふけるアントワネットなのだろう。

そして、囚われる。苦しむ。
断頭台。緊張の息遣い。ギロチンが落ちる音。暗転。

「ハロ」 ヘレナ・マーティン
フラメンコがベースなのだが、脚使いはほとんどなく、ストールを使った踊り。すごくかっこよかったが、う〜ん、本日のガラに入ってなくても良かったかな。

ドニゼッティ・パ・ド・ドゥ」 上野水香 高岸直樹
上野さんのスタイルは本当に日本人離れしている。黒の足首までのスパッツが余計にそれを強調する。ストーリー性のない演目の方が素直に彼女の踊りを観ることができる。高岸さんも濃いお顔立ちなので、この衣装に負けていなかったのが素晴らしい。踊りもそれなりにまとめていて、達者。

失われた時を求めて」 "モレルとサン・ルー" ギヨーム・コテ デヴィッド・ホールバーグ
ロッドバルトと言い、悪役がすごく似合うホールバーグ君。相手のコテ君が優しい顔立ちなので、その冷たい美しさが際立つ。男性が男性を誘惑すると言うただでさえ妖しいテーマだが、ホールバーグが演じるといっそう妖しさが増す。


「三人姉妹」 シルヴィ・ギエム マニュエル・ルグリ
随分情熱的なヴェルシーニンだった。ポワントで踊るギエムを観るのはとても久しぶりなのだけど、その踊りは全く衰えておらず、相変わらずものすごい身体能力だ・・・リフトされて開脚する脚が長い鋭い! この演目にはこの身体能力は過剰な気もしたが。

◆上演時間◆
第1部 18:30 〜 19:30
休憩 20分
第2部 19:50 〜 20:45