英国ロイヤル・バレエ団 「マイヤーリンク(Mayerling)」 2010年6月24日 ワトソン&ガレアッツィ&ラム

この日を観て、初日はあんなにすごい踊りだったのに演劇的と感じたのは、ロホとアコスタが複雑な振付を完璧にこなした上で演技をしていたからだったのだ・・・とわかった。踊れる人がやるのとそうでないのとでは、物語のパワーがまったく違うのだ。

役のイメージにはぴったりのワトソンだったのだけど・・・サポートが・・・体力の限界でいっぱいいっぱいやってる感がぬぐえず、サポートも荒くぎこちなくなってしまうのが非常に残念。思わず帰宅してすぐにムハメドフのDVDを見直して、やはり全然違う・・・!と思ってしまった。アコスタの後はこんな違和感はなかった。ワトソン君の脚は細くて真っ直ぐでラインが誰より美しい・・・だけど、この役において必須のリフトの巧みと主役オーラに欠けるは致命的。

逆にガレアッツィはどう見ても17歳には見えず、無邪気に愛のために死ぬことに憧れて燃え尽きる少女というよりは、若い愛人を苦しみから救うためにお姉さんが一緒に死に導いてあげようみたいな・・・官能性も感じられなかったし・・・ ラリッシュ夫人のサラ・ラムが若くて美しく・・・そして、ルドルフのことを本当に思っている演技が上手かっただけに、彼女がガレアッツィをあてがうことに説得力がなくなってしまうのだ。「キャストを逆にすればよいのに」と思わずにいられなかった。

後のキャスト陣は割合初日と重なっている部分が多かったのは少し残念だったが、結果的には代わらなかったキャストは良かったが、代わったキャストは今一つなことが多かった。

ブラットフィッシュは断然初日のセルヴェラが良かった。ブライアン・マロニーは重い印象。

ギャリー・エイヴィスのフランツ・ヨーゼフは存在感があり、どうしようもない息子をどうしようか・・・と考え込む背中の演技が良かった。彼がフランツ・ヨーゼフになった代わりにベイミードルトン大佐役になった平野さんはがんばっていたけど、ギャリー・エイヴィスのキャラと貫禄には遠く及ばず・・・かな。でも、ロイヤルの中でも平野さんも蔵さんも背が高くて脚が長くてスタイルで負けてないところがすごい・・・

セルゲイ・ポルーニンがハンガリー将校で出ていたのは嬉しかった。主役を食う存在感があって、跳躍が軽やかで脚が真っ直ぐで美しい・・・彼の主役も観たかった。

この作品を週末にかけてやって欲しかった・・・さすがに平日3連荘でこの作品はヘビーすぎるのであきらめたが、やはりコボーの中日も観たかった。リーズは短いから平日にもってきて欲しかったなぁ。

ところで、今回は小林ひかるさんやチェ・ユフィさんがちっとも舞台に立ってない・・・!ロミオとジュリエットでも出なさそうだし・・・とても残念・・・

英国ロイヤル・バレエ団 「マイヤーリンク(Mayerling)」
2010年6月24日 18:30 - 東京文化会館


振付: ケネス・マクミラン
音楽: フランツ・リスト
編曲/オーケストレーション: ジョン・ランチベリー
美術: ニコラス・ジョージアディス
台本: ジリアン・フリーマン


ルドルフ (オーストリア=ハンガリー帝国皇太子) : エドワード・ワトソン
男爵令嬢マリー・ヴェッツェラ (ルドルフの愛人) : マーラ・ガレアッツィ


ステファニー王女 (ルドルフの妻) : イオーナ・ルーツ
オーストリア=ハンガリー帝国皇帝フランツ・ヨーゼフ (ルドルフの父) : ギャリー・エイヴィス
エリザベート皇后 (ルドルフの母) : タラ=ブリギット・バフナニ
伯爵夫人マリー・ラリッシュ (皇后付きの女官、ルドルフの元愛人) : サラ・ラム
男爵夫人ヘレナ・ヴェッツェラ (マリー・ヴェッツェラの母) : エリザベス・マクゴリアン
ブラットフィッシュ (ルドルフの個人付き御者、人気者の芸人) : ブライアン・マロニー
ゾフィー大公妃 (フランツ・ヨーゼフの母) : ウルスラ・ハジェリ
ミッツィ・カスパー (ルドルフの馴染みの高級娼婦) : ラウラ・モレーラ
ベイミードルトン大佐 (エリザベートの愛人) : 平野亮一
四人のハンガリー高官 (ルドルフの友人) : セルゲイ・ポルーニン、ヴァレリー・ヒリストフ、蔵健太、トーマス・ホワイトヘッド
カタリーナ・シュラット (独唱) : フィオナ・キム
ルフレート・グリュンフェルト (ピアノ独奏) : ポール・ストバート
エドゥアルド・ターフェ伯爵 (オーストリア=ハンガリー帝国の首相) : アラステア・マリオット
ホイオス伯爵 (ルドルフの友人) : ヨハネス・ステパネク
ルイーズ公女 (ステファニーの妹) : ロマニー・パジャク
コーブルグ公フィリップ (ルイーズの夫、ルドルフの友人) : デヴィッド・ピカリング
ギーゼラ公女 (ルドルフの姉) : サイアン・マーフィー
ヴァレリー公女 (ルドルフの妹) : フランチェスカ・フィルピ
ヴァレリー公女の子供時代 : リャーン・コープ
マリー・ヴェッツェラの子供時代 : マーラ・ガレアッツィ
ロシュック (ルドルフの従者) : ミハイル・ストイコ
ラリッシュ伯爵 : ベネット・ガートサイド

その他、来客、メイド、娼婦、紳士、使用人、侍女など : 英国ロイヤル・バレエ団


指揮 : バリー・ワーズワース
演奏 : 東京フィルハーモニー交響楽団


◆上演時間◆
【第1幕】 18:30−19:15
休憩 20分
【第2幕】 19:35−20:30
休憩 20分
【第3幕】 20:50−21:30