英国ロイヤル・バレエ団「ロミオとジュリエット」2010年6月26日 コジョカル&ペネファーザー その1

感動で胸震える舞台だった。コジョカルのジュリエットが素晴らしい。ぴったりだとは思ったけど、これほどまでにとは。演技をしているのだけれど、あまりにジュリエットそのもので・・・踊りも完璧。一幕バルコニーの終わりですでに涙が。急なパートナー交代があったけれど、ペネファーザーをリードしつつ、完璧な演技をみせてくれた。感謝。

ペネファーザー君は、前回来日でシルヴィアでのアミンタを観て、かわいいけどかなり頼りなくへなちょこだった・・・と思った(はず。記憶があるのに、記録がないのはなぜ・・・??)ものの、容姿が好みなので、気になる存在。(すっかり忘れていたが、昨年ロンドンでジゼルのアルブレヒトも観ていたのでした)。 なので、今回のツアーでキャスティングに入っていないのがちょっと不満だった。でも、プログラムを観るとローレン・カスパートンとともに主役のキャストに入っている。。 ?と思ったら、学校公演があるので、恐らくそこに配役されていたのだろう。後はアンダースタディということだったのでしょう。

それにしても、ペネファーザー君もご立派になられて・・・気品のなさは相変わらずだけど。でも、その飾らなさが疾走するロミオ像としてぴったりで良かった。私はロミオ役は若者にやって欲しい派なので、コボーさんにはお気の毒だけど、少しラッキーだと思ってしまった。ソロの踊りはラインがきれいで、サポートも丁寧だったし、最後のジュリエットの死体を抱えた嘆きの表情にぐっときた・・・ 今シーズンは本国でルドルフを踊って好評だったそうだけど、このお兄ちゃんがどんな風にあの重い役を踊ったのかしら・・・。再演希望。

しかし、マイヤーリンクとロミ・ジュリを一緒にもってきてくれて、嬉しいけどヘビー過ぎ。せめて間が1週間ぐらい開けてくれないと、消化不良になってしまう。もったいない!

第一幕
<広場>
ペネファーザー君、いきなり出てくるんだけど、やはり普通のお兄ちゃんっぽくて主役オーラがなく、ロミオだと気付くまで時間がかかった(笑)。かりっと刈り上げしてる短髪な髪型がちょっと貴族のイメージに合わない。

ロザラインに迫るがつれなくされて、マキューシオとベンヴォーリオに慰められる。娼婦と絡んで踊る。ロミオは惚れっぽい遊び人なのだ。ソロの踊りは脚のラインがきれいでなかなか良いペネ君。

ティボルト一行(おつきの一人は平野さん)がやってきて、強引に娼婦の一人を自分の下へ連れてくる。娼婦につばを吐きかけられ、怒ったティボルトが切りかかろうとすると、それをロミオが止めに入る。しかし、マキューシオが挑発し、両家の乱闘が始まる。剣の打ち合いはかなり激しい。

ヴェローナ大公の諫め。ここで、積み重なった死体の後ろの大公を挟んで、両家が左右に整列し、一斉に両手を挙げて、腰に手をあてるポーズをするのがDVDでも印象的。


<ジュリエットの部屋>
お人形を抱き、乳母をからかって面白がる子供っぽいジュリエット。

コジョカルはジュテが高い!脚の開脚が180度以上! パ・ド・ブレの時はトゥの音が結構すごい。常々、彼女のトゥシューズってなんか変だな・・・と思っていたのだが、今日はっきりとトゥの先が大きい!と思った。普通はつま先に向かって先細りになっていくのに、コジョカルのは先に行くほど太くなってる!だから、パ・ド・ブレの時はトゥの音が大きくなるのだ!(違うかな?) 

両親からパリスを紹介され、手に挨拶のキスをされるのも恥ずかしがって受けられないほど、ジュリエットはまだ子供。恥ずかしさから、乳母に抱きつく。このコジョカルのはにかみ方がまた愛らしい。

<キャピレット家の前>
到着した人々が次々と家へ招かれて入っていく。ロザラインを追ってロミオたちも仮面をつけてやってくる。ロザラインと一緒に到着した女性はティボルトと視線をしっかり交わし、舞踏会でもティボルトと踊っているので、ティボルトの恋人?マクミラン版はキャピレット夫人と出来てるって設定ではないのかな?

3人の踊り。技量的なバランスが良かった。

<舞踏会>
壁面のセットが上がると、金をあしらった山吹色〜オレンジ〜赤の微妙なグラデーションのゴージャスな衣装をまとった貴族達がずらりと整列。あの重々しいフレーズで厳かに踊りだす。格式ばった踊り。

ロミオはなんとかロザラインの気をひこうと始終ちょっかいを入れて、まんまとロザラインと踊ったりする。ジュリエットがパリスと踊りだす。恥ずかしさで節目がちなジュリエット。そのジュリエットを見た瞬間ロミオは視線が釘付けになって立ち尽くしてしまう。踊り終わったジュリエットが振り返って、ロミオの視線にぶつかる。仮面をしたままのロミオにどうしてここからジュリエットは気を引かれたのかは謎。

ジュリエットの友人たちが入ってくる。ジュリエットがマンドリンを奏でると、友人たちが踊りだす・・・はずが、ロミオが踊り始めてしまい、友人たちは何この人・・・の視線。ジュリエットはロミオに釘付け。思わず2人が手を取り合ったところで、人々がつめより、ようやく我に返ったロミオはその場を辞する。マキューシオとベンヴォーリオ皆の注目をそらせるために踊る。ベンヴォーリオが蔵さんなので、かなり贔屓目に注目して見てしまうのだが、マクミラン版のベンヴォーリオはなかなか見せ所が多い役だ。マルティんのマキューシオはキャラ設定が意外にやや大人しめ。

1人になったジュリエットの側へやってくるロミオ。少し2人で踊ると人々の気配が。ロミオは慌てて隠れる。パリスがジュリエットの側へ寄ろうとすると、気分が悪いので・・・とジュリエットは仮病を使って遠ざける。紳士なパリスは何の疑いもなく「では、後ほど」と舞踏会に戻っていく。ティボルトはいぶかしげに出て行く。再び1人になったジュリエットの下へ戻ってきたロミオはもう抑えきれず、仮面を取ってジュリエットと踊りだす。恋に落ちた二人の短いパ・ド・ドゥ。ジュリエットに夢中になっていくロミオをペネ君は素直に表現していて、そのストレートさにちょっと妬けるほど(いらない?)。

ティボルトが入ってきて2人を引き裂く。ロミオはばれないよう手で顔を隠すが、無駄な抵抗。怒り狂うティボルトの背後でジュリエットは戸惑った表情で乳母を見ると、乳母が何かささやく。ジュリエットはここでモンタギュー家のロミオだと知るのだ。

キャピュレット公はその場を収め、舞踏会を台無しにしないようそのままロミオたちがとどまることを許す。人々に混じってロミオたちも踊る。輪の中でジュリエットの順番が回ってくると思わずそのまま2人の世界に入ってしまう。ティボルトがふざけるな!と飛び掛ろうとするのを周囲が押さえる。人々が帰り始めるが、ロミオはジュリエットに釘付けなまま。マキューシオとベンヴォーリオがもう帰るぞ!とロミオを引っ張り、ようやく退出。しかし、心は置いたまま。

舞踏会が終わって、客たちが帰る。夢見心地で出てきたロミオは1人どこかへ走り去る。

<バルコニー>
夢見心地でバルコニーに現れるジュリエット。マントを翻してロミオがやってくる。客席に背を向け、バルコニーのジュリエットを見つめるロミオ。その視線に答えるジュリエット。見詰め合う2人。音楽何小節か分動かずにひたすら見詰め合う。このシーン大好き。音楽とともに気持ちが盛り上がる。

再び会えた喜びソロ。ペネ君はアチチュード・ターン?の脚が美しい。早い回転も安定的にこなす。そして、パ・ド・ドゥ。ペネ君、腕をプルプルさせてがんばってた!一方、コジョカルは常に流れるようにさらりと踊っていた。リフトされている時のコジョカルの脚の美しさにうっとり。マクミラン版では複雑なリフトとともにこのまっすぐに伸ばした脚がとても印象的。恋の高まりに微笑みながら踊っていた二人が最後にふと真顔になって初めてのキスを交わし、別れる。・・・・ただただため息。涙。

長くなってきたので、その2に続く。

英国ロイヤル・バレエ団
ロミオとジュリエット
振付: ケネス・マクミラン
音楽: セルゲイ・プロコフィエフ
美術/衣装: ニコラス・ジョージディアス
照明: ウィリアム・バンディー


2010年6月26日 18:00− 東京文化会館


ジュリエット: アリーナ・コジョカル
ロミオ: ルパート・ペネファーザー(ヨハン・コボーより変更)


マキューシオ: ホセ・マルティン
ティボルト: ベネット・ガートサイド
ベンヴォーリオ: 蔵健太
パリス: ヨハネス・ステパネク
キャピュレット公: クリストファー・サウンダース
キャピュレット夫人: エリザベス・マクゴリアン
エスカラス(ヴェローナ大公): ギャリー・エイヴィス
ロザライン: タラ=ブリギット・バフナニ
乳母: ジェネシア・ロサート
僧ロレンス: アラステア・マリオット
モンタギュー公: アラステア・マリオット
モンタギュー夫人: クリステン・マクナリー
ジュリエットの友人: リャーン・コープ、べサニー・キーティング、イオーナ・ルーツ、エマ=ジェーン・マグワイア、ロマニー・パジャク、サマンサ・レイン
3人の娼婦: ヘレン・クロウフォード、フランチェスカ・フィルピ、ラウラ・モレーラ
マンドリン・ダンス: セルゲイ・ポルーニン、
ポール・ケイ、リアム・スカーレット、ミハイル・ストイコ、アンドレイ・ウスペンスキー、ジェームズ・ウィルキー
舞踏会の客、街人たち: 英国ロイヤル・バレエ団


指揮: ボリス・グルージン
演奏: 東京フィルハーモニー交響楽団


◆上演時間◆
【第1幕】 18:00−19:05
休憩 20分
【第2幕】 19:25−20:00
休憩 20分
【第3幕】 20:20−21:00