エトワールガラ2010 Bプロ 2010年7月30日

コッペリア」第2幕より
振付:J.ギヨーム・バール
音楽:L.ドリーブ
ドロテ・ジルベール、ジョシュア・オファルト

ううう。すでに記憶にほとんど残っていない。オファルト君がやはりとても素敵な青年になられたのにひたすら感動。ノーブルな雰囲気でとっても良い。テクニックも安定していて申し分なし。ジルベールもすっかりエトワールとしての貫禄。今回はジルベール&オファルトの組み合わせが多いのね。

ロミオとジュリエット」よりバルコニーのシーン
振付:K.マクミラン
音楽:S.プロコフィエフ
エフゲーニヤ・オブラスツォーワ、マチュー・ガニオ

んんんん〜〜〜〜!!ロイヤルの・・・特にマックレー君のロミオを観た後でマチューのロミオはきつすぎ・・・前半のソロはまだがんばっていたと思うのだけど、それでも回転を減らしたり(多分)していて、スローモーションを観ているようだったし、リフトが・・・あぁもうとにかくリフトが・・・オブラツォーワは良かったと思う。振り付けもちゃんとこなしていたけど、あのサポートでは気の毒としか言いようがない・・・ 特に象徴的な、床に跪いて両腕でジュリエットを押し上げるリフトは、ABTのようにジュリエットが片手をロミオの手に置いていたにもかかわらず、キープできず、プッシュ・アップ1回で終了。えええええ?そんなのあり〜??いくらマチューでもこれはだめ。あんなにガタイが良いのに、マチューって非力なのか?? 当初からマクミラン版なんて踊れるの??といやな予感がしていたけど、その予想通りで本当にがっかり。マチアスがやるべきだった。絶対。そしたら感動の嵐だったと思う!

「フラジル・ヴェッセル Fragile vessels」<<日本初演>>
振付:J.ブベニチェク
音楽:S.ラフマニノフ
シルヴィア・アッツォーニ、イリ・ブベニチェク、
アレクサンドル・リアブコ

前の演目の怒りに震えていたのだが、この3人がバレエの世界に私を引き戻してくれた。すばらしい!!音楽と振付が完全に一体化と言う意味では「カノン」に匹敵する作品だと思った。もちろんそれは踊った3人の力量と呼吸が完璧に合致しているから。美しいフォーメーションやリフトの数々。イリとリアブコは全然体型体格が違うのに、踊ると完璧にユニゾンする。タイトルのFragile vessels-直訳すると壊れやすい器?(血管じゃないよね)・・・どういう意味なのかなぁ。前回は簡単な作品解説をビラでくれていたのになぁ。(もっともイリのコメントはまったく作品を解説してなかったけど)

プルースト失われた時を求めて」より囚われの女
振付:R.プティ
音楽:C.サン=サーンス
エレオノラ・アバニャート、バンジャマン・ペッシュ

DVDのエルヴェ・モローの美しく長い脚の印象が強いけど、ペッシェのプルーストはより説得力があったように思う。女を軟禁してしまうという異常さは美しいモローでは現実的ではなく、狂気を秘めたペッシェの演技がしっくりきた。エレオノーラの美しい金髪が印象的。これまで彼女の踊りに感動したことがなかったのだけれど、今回はどれも素晴らしく、すっかりファンになった。

「ディーヴァ」
振付:C.カールソン
音楽:U.ジョルダーノ
マリ=アニエス・ジロ

真っ暗な舞台の中央奥に浮かび上がるシルエット。男性?いや、ジロ様・・・う〜ん、りっぱな肩幅だ・・・ 素足で踊るジロのつま先は本当に美しかった。ぐらいしか覚えてない!

「薔薇の精」
振付:M.フォーキン
音楽:C.M.フォン・ウェーバー
エフゲーニヤ・オブラスツォーワ、マチアス・エイマン

エイマンの踊りは素晴らしい〜 跳躍の繰り返しがひたすら軽やか。中性的な色気はもう一つだけど、それはおいおいついてくるのかな。コールプさんの強烈なイメージが強すぎるせい。オブラツォーワはこの役ぴったりすぎるほどぴったり!それにしてもこの2人はとてもよく似合う。マリインスキーはマチューじゃなくてマチアスをゲストに呼ぶべき!

「瀕死の白鳥」
振付:D.ウォルシュ
音楽:C.サン=サーンス
マリ=アニエス・ジロ

これは踊り??と思ったが、もっと上からみると良かったらしい。残念。

「プレリュード」≪世界初演
振付:D.ボンバナ
音楽:C.ドビュッシー
エレオノラ・アバニャート、バンジャマン・ペッシュ

「牧神の午後」って創作家のイマジネーションを掻きたてるのかな。非常にいろんなバージョンがある。でも、最終的なエンディングのテーマはいつも同じ。今回は女性が牧神で男性がニンフ(?)。作品としては好みではないが、アバニャートの動物的で官能的な動きは秀逸だったと思う。

「幻想〜“白鳥の湖”のように」第1幕より
振付:J.ノイマイヤー
音楽:P.I.チャイコフスキー
シルヴィア・アッツォーニ、アレクサンドル・リアブコ

1幕の終わりの方のナタリア姫とルードヴィッヒ王のPDD。リアブコはちゃんとルードヴィッヒの真ん中分けの髪型にセット。触れ合いそうですれ違う2人・・・の演技は素晴らしいけど、これは日本で全幕上演されたことがない【訂正】近年全幕上演されていないだけにPDDだけでは良さを伝えるのが難しいと思う。音楽も通常の白鳥で使われていないものだし・・・この2人が踊るのなら、クレア姫とアレクサンダー伯爵の1幕のPDDを踊ってほしかった!イリもいるし、なんなら王とトロワで映像版の再現とか!! というか、全幕の舞台を是非もう一度日本でやってください! 

プルースト失われた時を求めて」より
モレルとサンルー
振付:R.プティ
音楽:G.フォーレ
マチュー・ガニオ、ジョシュア・オファルト

さすがに持ち役だし踊りこんでいるだけあって今度はもう文句はありません。でも、前回と同じ演目っていうのはどうなんでしょう?オファルト君は踊りは悪くないけど少し弱くてモレルっぽくはなかなった。そう言えば、次回のガラはビュヨン君呼んでください。

「アパルトマン」よりグラン・パ・ド・ドゥ
振付:M.エック
音楽:フレッシュ・カルテット
マリ=アニエス・ジロ、イリ・ブベニチェク

ようやくジロ&イリです!ギエムが踊った時に「アパルトマン」苦手・・・と思ったが、今回はなかなか楽しめた。オペラ座での公演を録画したるんだった。もう一度観てみよう。

「スターズ アンド ストライプス」
振付:G.バランシン
音楽:J.P.スーザ
ドロテ・ジルベール、マチアス・エイマン

すごい2人だ〜 テクニック合戦炸裂〜
最後の演目として大いに盛り上がったのでした。 そもそも「スターズ アンド ストライプス」なんだからしょうがないんだけど、舞台奥の背景全体ほどの大きなアメリカ国旗をバックにフランス人が踊るってなんだか不思議。フィナーレもこの音楽のまま全員でてきて、しかも曲が中途半端に終わってしまったし。ちょっとフィナーレがしょぼかった。1回目のフィナーレはすごくカッコよかったのになぁ。

今回のガラの宣伝部長を一気に引き受けた感のあるマチュー。知らない人が見てたらガニオ&フレンズかと思う前宣伝ぶり。どうしようもなく目を引かれる容姿だから、注目が集まるのは仕方ないとしても、どうもマスコミの安易な持ち上げ方は気に入らない。アダムやウィル・ケンプの時もそう思ったけど、民放のテレビ局とかがからむと宣伝と実態がかけ離れやすいので、ほんとに不愉快な気分になる。

などと、色々文句を言ったものの、このガラはやはりとても面白い企画。若手のエトワールたちとなかなかカンパニーとの来日がないハンブルグドレスデンのダンサーを観る機会を与えてくれる貴重なガラ。是非続けて欲しい。・・・・出来ればbunkamura以外で!!