バーミンガム・ロイヤル・バレエ団「ダフニスとクロエ」「真夏の夜の夢」2011年5月27日

「ダフニスとクロエ」はかなり眠くなってしまった。音楽がどうも全般的にまったりして抑揚がなく、集中力がもたなかった・・・「牧神」と似たまったり感だが、牧神はもっとハープの旋律が美しく、心地よいが、ラヴェルのこの音楽は美しい旋律がなかった(と感じた)ストーリーは「シルヴィア」と良く似ているが、ダフニスは寝てただけで、クロエを助けたのはパンの神で・・・神話のお話のはずだが、衣装は現代的。男性はチノパンにシャツ、女性は丈が長い原色のワンピース。なんだか???がいっぱいだった。

とりあえず、ダフニス役のジェイミー・ボンドがえらくハンサムでびっくり。オペラ座のエルヴェ・モローをもうちょっとがっしりさせた雰囲気。そして踊りもいけてた。長い杖を持ったままのトゥール・ザンレールがちゃんときれいに5番に降りていて、思わず唸ってしまった。クロエへのサポートも優しいし。どうしてこれまで目に入らなかったのかしら??怪我で舞台を遠ざかっていたりしたせいかな?

アレクサンダー・キャンベル君は文句なし。軽々と跳ね回っていた。でも、悪い海賊としてクロエを襲っちゃうようには見えなかったなぁ。海賊の踊りは面白かった。

が、クロエが助け出されて二人で愛を確かめ合うPDDがまたまったり音楽で意識が飛び・・・ 見終わった後は、他の作品にしてほしかったな〜と思ってしまった。アシュトンだったら、エニグマ・ヴァリエーションとか他のものもあったよね?



「ダフニスとクロエ」



音楽:モーリス・ラヴェル

振付:フレデリック・アシュトン

衣裳・装置:ジョン・クラクストン

照明:ピーター・テイゲン



クロエ(羊飼い):ナターシャ・オートレッド

ダフニス(山羊飼い): ジェイミー・ボンド

リュカイオン(都会から来た人妻):アンブラ・ヴァッロ

ドルコン(牧夫):マシュー・ローレンス

ブリュアクシス(海賊の首領):アレクサンダー・キャンベル

パンの神: トム・ロジャース

ニンフたち:ヴィクトリア・マール、ジェンナ・ロバーツ、アンドレア・トレディニック

羊飼いたち、海賊たち:英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団


アシュトン版「真夏の夜の夢」は、スティーブン君のオベロンを観てるはずなのに、なぜか頭の中がバランシン版モードになっていた・・・ う〜む。

それにしても、都さんって全然まだまだ踊れるのね〜。手足が華奢で軽やかで、かわいらしくって。妖精そのもの。セザール・モラレスはスタイルは良いのだけど、ラインがあまり美しくなく、今一つ魅力的ではなかった。何度もスティーヴンのオベロンを思い起こしてしまった。あぁ、今のところスティーヴンだったら、きれいなアラベスクだろうな〜とか(←病気)都さんともばっちりのパートナーシップだったスティーヴンを呼んでほしかったよー

ここでも、キャンベル君は文句なく大活躍。大分がっちり体型になっちゃったのね。セザール・モラレスが華奢なせいか、オベロンがますます霞んでしまった。ロバート・パーカーのボトムはポワントワークもうまかったし、演技がとってもかわいくってユニークで良かった。

最後はみんなハッピーエンドで、心があったかくなった。



真夏の夜の夢



音楽:フェリックス・メンデルスゾーン

振付:フレデリック・アシュトン

衣裳・装置:ピーター・ファーマー

照明:ジョン・B. リード



オベロン:セザール・モラレス

タイターニア:吉田 都

インドからさらってきた男の子:小林 巧 (東京バレエ学校)

パック:アレクサンダー・キャンベル

ボトム:ロバート・パーカー

村人:ジョナサン・カグイオア、キット・ホールダ−、ロリー・マッケイ、ヴァレンティン・オロヴィヤンニコフ、クリストファー・ロジャース=ウィルソン

ハーミア:アンドレア・トレディニック

ライサンダー:トム・ロジャース

ヘレナ:キャロル=アン・ミラー

デミトリアス:マシュー・ローレンス

蜘蛛の精: アランチャ・バゼルガ

エンドウの花の精:レティシア・ロ・サルド

蛾の精:ローラ・パーキス

カラシナの精:ジャオ・レイ

妖精たち: 英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団



指揮:フィリップ・エリス (「ダフニスとクロエ」)/ポール・マーフィー (「真夏の夜の夢」)

演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

合唱:江東少年少女合唱団 (「真夏の夜の夢」)



◆上演時間◆

「ダフニスとクロエ」 18:30 ― 19:30

【休憩】 25分

真夏の夜の夢」 19:55 ― 20:50

バーミンガム・ロイヤル・バレエ団「眠れる森の美女」2011年5月22日 ロホ&マッケイ

タマラ・ロホは予想外に初々しくかわいらしいオーロラ。目覚めのPDDやGPDDではイアン・マッケイ王子との間に愛が感じられて、これも含めて完璧な演技。もちろんテクニックは完璧。ローズ・アダージョは最後のバランスがどんどん長くなっていって・・・指揮者もしーっかり合わせていた。キューピーちゃんのような優しいお顔立ちのポール・マーフィさんはロイヤルの常任客演指揮者・・・ということで、オペラハウスでも来日公演でも何度もお見かけしている。今回はロホのためにいらしたのかしら。でも、さすがに息はぴったりだった。

それにしても、カラボスのマリオン・テイトが観れば観るほど素晴らしい。演技もそうだし、重量のあるロングドレスの裾をなびかせながらの美しい回転。音楽にもぴったり。さすが元プリマ。

本日の妖精さんたちはまずまずでした。安堵。今日もセリーヌ・ギッテンスがダントツに上手かった。

そう言えば、平田桃子さんがいない・・・と思ったら、プログラムの団員の中にも名前がない!調べてみたら、年初に退団してコレーラ・バレエに移籍された模様。今年の春のシンデレラはゲストとしての出演だったそう。確か昨年は主役への抜擢が増えていたのに、このタイミングで??と思わないでもないが・・・


英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団2011年日本公演
 
「眠れる森の美女」 プロローグ付き3幕



国王フロレスタン二十四世:ヴォルフガング・シュトルヴィッツァー

王妃:ヴィクトリア・マール

オーロラ姫:タマラ・ロホ

フロリムンド王子:イアン・マッケイ

カタラビュット(式典長):デヴィッド・モース

カラボス:マリオン・テイト

リラの精:アンドレア・トレディニック



プロローグ

美しさの精:ナターシャ・オートレッド

お付きの騎士:ジョセフ・ケイリー

誇らしさの精:アランチャ・バゼルガ

お付きの騎士:ファーガス・キャンベル

謙虚さの精:レティシア・ロ・サルド

お付きの騎士:ジョナサン・カグイオア

歌の精:ジャオ・レイ

お付きの騎士:クリストファー・ロジャース=ウィルソン

激しさの精:ダスティ・バットン

お付きの騎士:ヴァレンティン・オロヴィヤンニコフ

喜びの精: サマラ・ダウンズセリーヌ・ギッテンス

お付きの騎士:タイロン・シングルトン

カラボスのお付きの騎士:ジェームズ・バートン、益子 倭、ショーン・マクラフリン、ナサナエル・スケルトン、オリヴァー・ティル、ルイス・ターナー

リラの精のお付き:ジェンナ・キャロル、ローラ・ダベンポート、淵上礼奈、ジェード・ヒューゼン、アビゲイル・プルーダムズ、ローラ・パーキス



第1幕

4人の王子:ロバート・パーカー、ジェイミー・ボンド、ドミニク・アントヌッチ、タイロン・シングルトン

オーロラ姫の友人:ジェンナ・キャロル、ローラ・ダベンポート、淵上礼奈、ジェード・ヒューゼン、アビゲイル・プルーダムズ、ローラ・パーキス、ジェード・ヒューゼン、ニッキ・モファット、ローラ・パーキス

ガーランド:アランチャ・バゼルガ、サマラ・ダウンズ、セリーヌ・ギッテンス、イヴェット、ナイト、レティシア・ロ・サルド、ジェンナ・ロバーツ、ジョナサン・カグイオア、マティアス・ディングマン、ロバート・グラヴノー、ヴァレンティン・オロヴィヤンニコフ、クリストファー・ロジャース=ウィルソン、トム・ロジャース



第2幕

伯爵夫人: ジャン・イジン

王子の側近:ジョナサン・カグイオア



第3幕

パ・ド・カトル:アランチャ・バゼルガ、ローラ・パーキス、マティアス・ディングマン、オリヴァー・ティル

長靴をはいた猫と白い猫:ロバート・グラヴノー、カリー・ロバーツ

青い鳥とフロリナ王女:ジョセフ・ケイリー、ナターシャ・オートレッド

赤ずきんと狼:ジャオ・レイ、ヴァレンティン・オロヴィヤンニコフ

グラン・パ・ド・ドゥ:タマラ・ロホ、イアン・マッケイ





◆上演時間◆
プロローグ 13:30-14:10

【休憩】 15分

第1・2幕 14:25-15:30

【休憩】 15分

第3幕 15:45-16:25

バーミンガム・ロイヤル・バレエ「眠れる森の美女」2011年5月21日ソワレ 佐久間&ツァオ

久しぶりに王道な古典を観た〜という感じ。重厚感のある舞台装置とゴージャスな衣装。佐久間さん&ツァオ・チーのパートナーシップが完璧で満足度がさらに上昇。

プロローグでは、照明が暗めで背景も金をつかいつつも全体的に黒でくすみをかけてあったので、まるでマノンでも始まりそうな雰囲気。登場人物すべての衣装が本物の宮廷の衣装のようにボリューム感たっぷり。

ただ、妖精たちの衣装も色を押さえてあって、個々の違いもあまりはっきりしなかったので、もうちょっときっちり分けても良かったように思った。しかも、妖精たちは喜びの精のセリーヌ・ギッテンスを除いて、なんだかとても??だった。バーミンガムを観てこんな風に感じたことはなかったのにな。皆さん、お疲れ?セリーヌ・ギッテンスはロンドンで観たバランシンの「セレナーデ」でも良かったし、さらに成長していた。伸びやかな肢体に、高い身体能力なのだけど、それだけではなくて、ラインの美しさに惚れ惚れした。この役以外はコール・ドで活躍だったが、もっと大きな役につくべき!

ライト版はマイムが結構多いので、ちょっと疲れていたため、所々冗長に感じてしまった。噂の目覚めのPDDは良いアイディアだと思う! 目覚めていきなり結婚よりは説得力あり。主役のPDDもたくさんあった方が良い。しかし、オーロラは大変!

最後のエンディングの金のハラハラは、本当におとぎ話を観ているようでうっとり・・・

英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団2011年日本公演

「眠れる森の美女」 プロローグ付全3幕




音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー

振付:マリウス・プティパ、ピーター・ライト

演出:ピーター・ライト

衣裳・装置:フィリップ・プラウ

照明:マーク・ジョナサン



国王フロレスタン二十四世:ドミニク・アントヌッチ

王妃:アンドレア・トレディニック

オーロラ姫:佐久間奈緒

フロリムンド王子:ツァオ・チー

カタラビュット(式典長):マイケル・オヘア

カラボス:サマラ・ダウンズマリオン・テイト


リラの精:ジャオ・レイ



プロローグ

美しさの精:ヴィクトリア・マール

お付きの騎士:ロバート・グラヴノー

誇らしさの精:アンブラ・ヴァッロ

お付きの騎士:マティアス・ディングマン

謙虚さの精:レティシア・ロ・サルド

お付きの騎士:ジェームズ・バートン

歌の精:ローラ・パーキス

お付きの騎士:ベンジャミン・ソレル

激しさの精:キャロル=アン・ミラー

お付きの騎士:オリヴァー・ティル

喜びの精:セリーヌ・ギッテンス

お付きの騎士:トム・ロジャース

カラボスのお付きの騎士:ジョナサン・カグイオア、ファーガス・キャンベル、益子 倭、ショーン・マクラフリン、クリストファー・ロジャース=ウィルソン、ルイス・ターナー

リラの精のお付き:アランチャ・バゼルガ、ジェンナ・キャロル、ローラ・ダベンポート、淵上礼奈、
ジェード・ヒューゼン、アビゲイル・プルーダムズ



第1幕

4人の王子:マシュー・ローレンス、ヴァレンティン・オロヴィヤンニコフ、ジョナサン・ペイン、トム・ロジャース

オーロラ姫の友人:ジェンナ・キャロル、ローラ・ダベンポート、淵上礼奈、ジェード・ヒューゼン、アビゲイル・ブルーダムズ、ローラ・パーキス

ガーランド:アランチャ・バゼルガ、ダスティ・バットン、セリーヌ・ギッテンス、レティシア・ロ・サルド、カリー・ロバーツ、ジャン・イジン、ジェームズ・バートン、エンガス・ホール、ロリー・マッケイ、タイロン・シングルトン、ナサナエル・スケルトン、オリヴァー・ティル



第2幕

伯爵夫人: カリー・ロバーツ

王子の側近:ジェームズ・バートン



第3幕

パ・ド・カトル:レティシア・ロ・サルド、ローラ・パーキス、ファーガス・キャンベル、オリヴァー・ティル

長靴をはいた猫と白い猫:ジョナサン・カグイオア、イヴェット・ナイト

青い鳥とフロリナ王女:マティアス・ディングマン、アンブラ・ヴァッロ

赤ずきんと狼:アランチャ・バゼルガ、トム・ロジャース

グラン・パ・ド・ドゥ:佐久間奈緒、ツァオ・チー



指揮:フィリップ・エリス

演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

協力:東京バレエ団





◆上演時間◆

プロローグ 18:30-19:10

【休憩】 15分

第1・2幕 19:25-20:30

【休憩】 15分

第3幕 20:45-21:25

Mad Hatter!


Ballet Associateより。

やはり、キャストされていたか・・・ 地下鉄にポスター貼ってるらしいじゃーん・・・なのに、いまだにHPに配役のことは何も書かれていないとは・・・!ぷんぷん!

あー、観たかったよー!

でも、絶対DVDになりそうじゃない?? 再演もあるだろうし・・・ね?

それにしても、イメージは映画のジョニー・デップに近い感じ♪

Prix de Lausanne 2011

あまり興味のなかったローザンヌ・バレエ・コンクール。適当に情報だけ斜め読みしていたら・・・あらっ!なんと、ダンソマニさんの情報の中でファイナルの審査中に行われる以前の受賞者とパートナー団体によるパフォーマンスが行われ、そこにスティーヴンが登場すると♪♪♪ 

演目はハバナでも踊っていた、コボー振付の「Les Lutins」とオリジナルのタップ「Something Different」! おおー!タップで受賞したローザンヌでまたタップを披露するなんて! 演目の詳細はこちら

日本でのライブ放送なんてないけど、ローザンヌのHPかArteであるようだけど、2月6日の現地時間午後3時から・・・ 日本時間だと午後11時から。審査時間なんて真夜中でしょー・・・・録画って出来るのかしら・・・うーむ。 

そういえば、Prix de LausanneではiPhone/iPadのアプリも大分前にローンチしてくれていて、そこでは2003年までさかのぼってビデオが見られる。2003年!といえば、スティーヴンが受賞した時! が、決勝の様子全部で早送りとか出来ない(?)ので、ずーっとみなければならず、未だ辿り着けず・・・ま、YouTubeに上がってるから良いのだけど、本家のは画像が美しいのよねー!

ベルリン国立バレエ「チャイコフスキー」 2011年1月23日

エイフマンのバレエ・・・そしてそれを演じたマラーホフがすごい!凄すぎる!これをライブで観ることが出来たのはすごく幸せ!

舞台装置や衣装など、演出面では新国立で観た「アンナ・カレーニナ」と相似している部分が多かった。黒い背景にミニマルな大道具で照明を効果的に利用、曲目は違うがチャイコフスキーの音楽、小道具のベッド、カラボス一味のヴェネツィア式仮面舞踏会っぽい衣装、女性のドレスは上半身はぴったりとしていてドレープの美しいスカートがついたものであり、細かい衣装替え、アクロバティックなリフトの数々、脚の動きが印象的な振付、コール・ドの殺人的なステップ、人間の欲望をさらけ出した濃密な場面が次々と繰り出され、最後は死体をさらして幕・・・

アンナ・カレーニナ」と違うのは、小説のストーリーに沿った展開ではなく、チャイコフスキーの人生を彼の代表的・・・象徴的な作品を織り交ぜながら描いていっている点。「眠り」、「くるみ」、「白鳥」、「スペードの女王」・・・そして、おもしろいのはそれらの著名な作品の登場人物を使いながら、その原曲はまったく使用していない。それが余計に幻想や悪夢の中の展開であることを強調していたように感じた。「アンナ・カレーニナ」では、ひたすら濃密なダンスが繰り返され時間は短いのに最後はちょっと辟易とする部分もあったのだが、この作品では「眠り」や「くるみ」そして特に「白鳥」の白いコール・ドが組み込まれることによって変化を生じ、さらに厚みや深み、広がりが出来たと感じた。

そしてマラーホフ!己を完全に捨てきって、役になりきって演じていたのはもちろん、なんと言ってもその踊りやラインの美しさは筆舌につくしがたいものがあった。終始舞台にいて、踊り続けているのに、この年齢にしてまだまだこんなに高いレベルで踊りきることが出来るなんて驚異的だ。これまで、マラーホフの踊りで正直心を動かされたことはなかったのだが、本当に稀有なダンサーなのだと初めて思わされた。そして、久しぶりに服を着ていた・・と思ったら、やはり最後は上半身裸のままだったけど(笑)

マラーホフ以外のキャストも良かった。なんと言って妻のサイダコーワ。最後はマノンの沼地のようにぼろぼろでスキンヘッドになってしまうのだが、鬼気迫る演技。彼女はチャイコフスキーをひたすら求めていただけなのに・・・と思わずかわいそうになった。それから、分身/ドロッセルマイヤー役のヴィスラウ・デュデクは長身の超ハンサム!マラーホフの分身には随分大きかったけど、自己愛の象徴とすれば、これぐらい美丈夫でも良いのかも。フォン・メック夫人役のベアトリス・クノップもロングドレスが長身に似合っていてとても素敵だったが、この役どころは今一つわかりにくかった。

王子(若者/ジョーカー)の ディヌ・タマズラカルも良かった・・・最初は眠っている王子。チャイコフスキーのキス(!)で目覚め、いきなり踊る。結構長い眠りからいきなりで大変だろうが、すごくきれいに踊っていた。バー・レッスンがすごくまた美しくって、鍛錬したダンサーの動きって全然違うんだな〜と見入ってしまった。ヤーナ・サレンコとの少女との踊りも絵になる。サレンコの出番はこのほんの一瞬なのだが、王子の心をとらえる本当にかわいらしい少女を一瞬にして印象付けていたのはさすがだ。

コール・ドも素晴らしかった〜 特に男性陣!「シンデレラ」と格段に違う印象!最初の黒鳥はロン毛に胸をはだけた黒の総タイツでセクシー!貴族はスマートなタキシード。特にこのリードの3人がめちゃかっこよくて・・・名前が全然わからなかったのが残念!「スペードの女王」のカードのシーンもすごかったなぁ。ディヌ・タマズラカルのジョーカーの赤タイツに前述の3人だったか、やおら服を脱ぐと胸がハートに大きくカットされた、これまた黒の総タイツ。サービスとしてか思えないセクシーな(ちょっとベタ過ぎて笑えたけど)衣装に鼻血ぶー。ここではボレロのような大きな円卓を斜めに立てたり、滑り込んだり、最後は・・・と非常におもしろく効果的に使っていた。一番おもしろいシーンだったかも。

これはもう1回観るべきだった!残念!

ベルリン国立バレエはマラーホフの振付じゃないものをやった時の方が全然印象が良い。以前、ベルリンで観たP・バール版の「くるみ」もすごく良かったのに、正直「シンデレラ」はかなりがっかり。マラーホフの「眠り」もあんまり・・・だったし、彼の振付は私の趣味に合わないのだろう。

それから、エイフマン・バレエの来日熱望!

ベルリン国立バレエ「チャイコフスキー全2幕
2011年1月23日(日)15時〜 東京文化会館




台本・振付・演出: ボリス・エイフマン
音楽: ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
装置・衣裳: ヴァチェスラフ・オクネフ

                                                                                      • -



チャイコフスキー: ウラジーミル・マラーホフ
分身/ドロッセルマイヤー: ヴィスラウ・デュデク
フォン・メック夫人: ベアトリス・クノップ
チャイコフスキーの妻: ナディア・サイダコワ
王子(若者/ジョーカー): ディヌ・タマズラカル
少女: ヤーナ・サレンコ


ヤーナ・バローヴァ、アニッサ・ブリュレ、エロディー・エステーヴ、ヴェロニカ・フロディマ、
マリア・ジャンボナ、ステファニー・グリーンワルド、針山愛美、ヨアンナ・ヤブロンスカ、
エリナー・ヤゴドニク、菅野茉里奈、アナスタシア・クルコワ、ワレリア・マナコワ、ニコレッタ・マンニ、
サラ・メストロヴィック、ナターリア・ミュノス、クラジィーナ・パヴロワ、クリスティアーネ・ペガド、
巣山 葵、寺井七海、ヴェレーナ・サーム


マルチン・アロヨス、ゲヴォルク・アソヤン、ミハエル・ファトゥラ、アルシャク・ガルミヤン、
ドミニク・ホダル、アレクサンドル・コルン、クリスティアン・クレール、マリアン・ラザール、
アルトゥール・リル、ウラジスラフ・マリノフ、エイメリック・モッセルマンズ、アレクセイ・オルレンコ、
ハビエ・ペーニャ・バスケス、ケヴィン・プゾー、スフェン・ザイデルマン、アレクサンドル・シュパク、
デイヴィッド・シミック、フェデリコ・スパリッタ、マルチン・シィマンスキー、ウリアン・タポル、
メフメト・ユマク




指揮: ヴェロ・ペーン
演奏: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団


◆上演時間◆
第1幕 15:00 - 15:50
休憩 25分
第2幕 16:15 -16:55

新国立劇場バレエ団「ラ・バヤデール」2011年1月22日 小野&福岡

小野さんのニキヤ・デビューは破綻なくまずまずの成功だろう。1,2幕の演技もそれなりにがんばっていたし、踊りは問題なし。3幕は珍しく固さが見られたけど、うまくまとめた感じ。割と度胸が良い(と思われる)小野さんをして、固くなるのだから、やはり3幕は難しいのだろう。しかし、初役をこれぐらいのレベルで踊りきれたのは立派。

気になるのは、白鳥でも思ったが、演技が型どおり・・・言われた通りに「演じてる」感じで、自分の解釈というのがあまり感じられないこと。6月のジュリエットやマノン・・・どうなるんだろう?期待と不安! それから、もう1点同じく白鳥でも思ったのは、ポール・ド・ブラが美しくない訳ではないのだが、どうも見栄えがしないのが気になる。腕が短い・・・ということもあるが、手も小さくてちょっとぷっくりしていて、ラインがなんというか子供っぽいのだ。せめて、もう少し手首がはっきりすると良いのでは・・・小野さんは今いくつだっけ?20歳後半とかになると変わってくるのかな?

福岡さんのソロルはなかなか良かった。出てきた瞬間ソロルに衣装がとても似合っていて、脚のラインも美しかった。ソロは抜群!マネージュは旋回(?)で一周してフィニッシュで540! 2幕のマネージュもきりもみをしっかり決め、フィニッシュもぴた! パートナリングがややあぶなっかしかったのが残念。1幕は緊張とサポートする腰周りが素肌なので持ちづらそうというか遠慮?で、サポートするタイミングが遅れ気味だったように見えた。残念ながら2人の間にあまり愛が感じられなかったのよね・・・ この2人はこれまであまり組んだことがなかったかと思うが、来シーズンはファースト・キャストで組むことが多い予定。はて、今後はどう変化していくのかしら。

本島さんのガムザッティはそれはそれは美しく・・・気は強いけど、これならソロルが心変わりしてもしょうがないほどの美しさ。ソロルははっきりいってすっかりガムザッティの虜になっていた!

輪島さんのハイブラーミン、意外に素敵だった〜!やはり、もろ肌脱ぐなら浅黒い筋肉質の肩が良いわ〜 このバージョンはハイブラーミンがやや大人しめでもったいない。というか、ソロル以外の男性はほとんど踊るところがないのでお気の毒すぎる。アダジオの2人だってサポートばかりだし。

素敵といえば、前日ラジャーの逸見さんがとても気品のある王様で良かった。

ジャンペでご登場の大和さんとあれ?米沢さん?と思ったら、大和さんが病気で降板になった井倉さんの代役に入られたようで、ピンク・チュチュに登場されて!と。お得な感じでした♪ ピンク・チュチュを前日踊ったさいとうさんと高橋さんは連日すごーくぴったり完璧で、あのシーンを引き締めていた。影のコールドも完璧を維持、第1〜3のヴァリエーションも磐石。ここで主役を食ってしまう日が多かった。

3日観て思ったのは、コール・ドや脇の完璧さに反して、主役が弱い!もっと、ちゃんとファースト・ソリストプリンシパルにプロモーションさせて、コール・ドの負担を減らして、役に専念させるべき!

新国立劇場バレエ団「ラ・バヤデール」
2011年1月22日(土)14時〜 新国立劇場・オペラ劇場


ニキヤ: 小野絢子
ソロル: 福岡雄大


ガムザッティ: 本島美和
ハイ・ブラーミン(大僧正): 輪島拓也
マグダヴェヤ: 八幡顕光
黄金の神像 : 福田圭吾
トロラグヴァ: 芳賀望
ラジャー(王候): 逸見智彦
ジャンペの踊り: 大和雅美、米沢唯
         伊東真央、細田千晶、今村美由起、川口藍、加藤朋子、益田裕子
つぼの踊り  : 湯川麻美子
ブルー・チュチュ: 西川貴子、寺島まゆみ、丸尾孝子、厚木三杏
ピンク・チュチュ: さいとう美帆、高橋有里、大和雅美、伊東真央
アダジオ    : グリゴリー・バリノフ、江本拓


第1ヴァリエーション: 寺島まゆみ
第2ヴァリエーション: 西川貴子
第3ヴァリエーション: 丸尾孝子